青色蒼色‐ぶるうぶるう

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□ 東方推理風 □

紅い夕日が沈むあと 九

     九

 あの後。霊夢が、この街に来た理由を霧雨に伝えた。
 あの時の霧雨は、いつもの霧雨ではなかった。
 言った瞬間、動揺し始めた。
 訳がわからないが、あの一言――魔女――を聴いた途端。霧雨の態度は豹変した。
 急に、ギスギスしだしたというか、なんというか。
 ――ともかく。よくはわからないが、霧雨の態度が変だったのは確かだ。
 そして、ギスギスした空気に耐えられなかった霊夢は、霧雨を引っ張りまわし館を一回り。
 特になんにも収穫はなく。「ああ、この館はやはりボロボロなだけの、本当にそれだけのお屋敷なんだな」というのが、まあ収穫といえば収穫だったのかもしれない。
 そして、適当に丘を降り、霧雨とわかれて、今に至る。
 どことなく寂しげな気持ちを、うっぷんを晴らすのと同時に溜息として吐き出す。
 吐き出された息は、白く、一瞬だけ残り、余計に寂しくなった。

「しかし……、なんだったのかしら」

 果たして。霧雨はいったい。
 悪い方の予感が、当たらなければいい。ただ、それだけで在った。
 コツコツ、と霊夢ただ一人の足音が響く。
 電灯には、一昨日のように虫がたかり。霊夢のまわりにまとわりつく。
 考えにふけっている霊夢は、それさえ気に止めない。
 霧雨は、恐らく。恐らくだが、魔女には何らかの関わりがある。
 これは、誰が見てもわかることだろう。あんな態度、いわゆるミステリものでは「疑ってください」と言っているようなもの。
 でも――関わっているとしたら、いったい何に?
 都市伝説の調査中に、――もちろん、霊夢と出会う前に――魔女に関する何かを知った?
 でも、だとするとあそこまで動揺した理由は?
 まったく、わからない。
 このままでは埒があかない。謎が解けないことにより、霊夢のストレスも上昇。いっそ叫びたい気分になったが、その気持を一瞬で収めてしまう自体が起こった。
 ――霊夢の体を、悪寒が駆け巡る。
 一瞬で、悪寒は全身に回り、霊夢の身動きを著しく阻害する。
 何事か、と思った。
 それは一瞬で消え、次の瞬間には霊夢も身動きを自由に取れるような状態に戻ったからだ。
 一歩。また一歩と歩みをすすめる。
 この先に、――何かがある。


 ――霊夢の第六感。女の勘は鋭い。よくそう言われることがあるが、まさに霊夢のそれを表すにふさわしい言葉だった。


 見覚えのあるT字路。見覚えのある電信柱。
 聞き覚えのある――音。
 身に覚えのある悪寒。
 全てが、そう。全てがデジャブのように襲いかかる。
 "得体のしれない気配"が、近づいてくる。
 そう。"あの"、悪寒だ。
 一昨日に感じた、異質な悪寒。
 霧雨が調査している、夜中に出歩く少女の都市伝説。
 それが、また現れた。
 どうするべきだろう。
 近づくことも、見ることもままならない。霧雨の話した都市伝説の続きとも言える物。
 こうなっては、見るしかない。近づくしかない。自らの手で、都市伝説を崩してやる。
 そう思い……霊夢は、決心した。



     ◇

 膠着状態が続く。相変わらず、まとわりつくように異常な気配が、霊夢の、その周辺を覆う。
 額を汗が伝う。全身をゾッと寒気が走る。
 どうして、こんなに怖いのか、霊夢自信、わからなかった。何が怖いのか。何に怯えているのか。
 コツ、コツ、と足音の主が近づいてくる。
 このままいくと、前回のように何も見ずに終わってしまう。そう思った。
 ――そう、思えた。
 徐々に、足音が大きくなる。ソプラノ程度の音程。どことなく、鈴の音色を思い浮かべる。
 シャン、シャン。今にも、そう聞こえてきそうなほど、鮮明に。
 怖い。恐い。何が? ――全てが。
 足はすくみ、まるで地面が足を掴んでいるように、ピクリとも動かない。
 このままでは、どうにもならない。
 このままでは――。
 唇を噛み締める。
 一瞬――気配が小さくなる。
 何事か、とか、なぜ? とか思ったが、これは好都合。
 すぐさま、重くて動かない足を、ローファーを、地面をこするようにして移動する。
 後、少し。
 ――後少し。
 T字路の、ちょうど曲がり角。
 そこから、顔を出すだけ。顔を出すだけで、見ることがままならないという少女を、拝むことができる。
 いったい、どれほどの時間がたっただろう。
 どんなに待っただろう。
 まだ気配は弱い。
 見るなら――今。
 霊夢はそう思い、意を決して身を隠していたブロック塀から顔を出す。
 少女――? 身なりからして、それは本当らしい。へたをすると霊夢よりも小さい体。
 色はわからないが、スカートを着ている。
 だが、それ以前に霊夢の目を、一点に釘付けに指せる物が在った。


 ――羽?


 少女の背中には、羽が。大きな羽が付いていた。
 いや、羽、では語弊が生じるかもしれない。
 ――翼。
 遠くから見ているから、定かではないが、少女の背中には、翼のようなものが確認できた。
 いったいなんなのか。この街に存在する都市伝説。
 それは――いったい――――……。
 それ以上、思考できなかった。
 なぜか。
 少女が、少女が――こっちを向いた。
 殺意、敵意、殺気。
 いろんなものが入り交じった、おぞましく、禍々しいその気配。――凶気に満ちた、その気配。
 全身にまとわりつく、なんてやわな表現じゃ足りない。
 全身を、足の裏から、脳まで。脳から、血管。血管から、全身。
 おぞましい気配が、はびこる。
 あんなもの、存在していていいのだろうか。
 そんなふうに思ってしまうほど、おぞましい。禍々しい。
 凶気に満ちたその顔を、霊夢は見てしまった。
 ……見て、しまった。
 何をされるのか、何が起こるのか。
 想像したくない。
 目を、閉じる。
 見たくない。純粋に、人間の本能から、女の感から、見たくない。
 目を閉じると、少女の顔が鮮明に映し出される。
 恐い。怖い。
 何を思ったのか。
 何を感じたのか。
 その少女は、なんだったのか――。


 そんなことを思う中で、――霊夢の意識は、暗転した。
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Date:2010/07/26
Trackback:4
Comment:8

Comment

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を~?
こいつはヤバいな……

どんどんのめり込みそうだ
2010/07/26 【AKIBA】 URL #- 

* NoTitle

ドキドキ・・・
面白いです!!その場その場の風景・場面を
想像しちゃいますね
続きを早くお願いしますっ!!
2010/07/26 【咲夜】 URL #- 

* すごい!!

ドキドキ・・・
面白いです!!その場その場の風景・場面を
想像しちゃいますね
続きを早くお願いしますっ!!
2010/07/26 【咲夜】 URL #- 

* NoTitle

すごく感情移入してしまいました・・・w

翼の生えた少女・・・(?)を見る前の緊迫感、
少女がこっちを向いたときの霊夢が
想像できますね・・・w

物語のこのUnknownな感じがものすごく好きですっ
2010/07/27 【すわくろろ】 URL #- 

* NoTitle

うーむ、引き込まれるような文章で真剣に考えさせられますね……。
魔女が魔理沙であるならもしかすると幻想郷に居た人達はみんな何かしらの都市伝説とかそういう噂になってるとか……。
なんにせよ話の続きが気になりますね……。
2010/08/20 【折り畳み傘】 URL #- 

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2012/07/16 【】  # 

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2012/11/03 【】  # 

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2013/01/22 【】  # 

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